top of page

ドローン×通信×AIで社会課題を解決する
国産ドローンメーカーのリーディングカンパニー

農業用ドローンAC101 ~NTT東日本はなぜドローン事業に参入したのか~



私たち「株式会社NTT e-Drone Technology」はNTT東日本、株式会社WorldLink & Company、株式会社オプティムの3社による共同出資のもと、株式会社エンルートから一部事業譲渡を受け、2021年2月1日から事業を開始しました。

当社はこれまで、メーカー製品である農薬散布ドローン「AC101」のデモフライト会を全国17カ所で開催するなど、主にエンドユーザーの農家様に向けて大規模な販促活動を実施して参りました。AC101をご紹介させていただくにあたり、たくさんの地域の現地農家様とお話する機会があったのですが、そんな中皆様から口を揃えて同じご質問をいただくことがありました。


「なぜNTTさんはドローン事業をはじめられたのですか?」


NTTと聞くと「電話」や「通信」を思い浮かべられる方が多いと思います。主に通信インフラの構築で日本社会に貢献してきたNTT東日本が、ドローンというハイカラなガジェットを使いしかも農業分野での参入を決めたとなると、従来のイメージから違和感を抱かれる方は多いみたいですね。


本稿では、皆様が疑問に思われるそういったNTT東日本への「なぜ?」に焦点をあて、事業立ち上げの裏側を解説していきます。


取り組みの中で見えてきた地域における課題

NTT東日本はNTTグループの中でも地域に根差したグループ企業として、その名の通り東日本の地域社会に通信事業を通して貢献して参りました。事業に取り組むにあたって自治体の方とも話し合うことが多いのですが、このところやはりどこの地域でも、異口同音に同じお悩みについてご相談いただくことが増えております。


その内容とは結論から言ってしまうとずばり人手不足です。特に東日本地域では農業が盛んなことから、高齢化とそれに伴う担い手不足は喫緊の課題になっています。


そういった経緯もあり、例えば自治体様から「野菜の高度管理をしてみたいので、飛び地を整地できないか」「うちの市で農薬を効率的に撒ける方法はないのか」といった農業関連の生産性向上に向けたご要望を受けることが増えていたのです。


しかし、それらはこれまでNTT東日本が取り組んでいる通信事業では、お応えできる範囲が少ない領域でした。地域問題の深刻化と現事業の限界というのを、日々痛感していたのでした。


なぜ「株式会社 NTT e-Drone Technology 」は設立されたのか

前述した背景もあり、NTT東日本では「農業の生産性向上や付加価値の創出によって、農業所得の向上に貢献したい!」という思いを強く抱くようになりました。そのどちらも実現する一つの解が、農薬散布ドローンの開発でした。


機体にもよりますが、農薬散布用ドローンを使うと、1haを10分程度で散布し終えます。 これは、人が散布装置を背負って作業をおこなった場合と比べて、1/5の作業時間と言われています。ドローン導入による効率化によって農家様の負担を減らし、よりたくさんの農作物の栽培を可能にするのです。


実を言うとNTTグループではすでに、自社で保有しているインフラの点検において、ドローンを利活用しております。そのためドローンに関するノウハウは蓄積されておりますが、より地域の農家様が抱えているお困りごとに向き合うためには、自社開発の機体を持つ必要がありました。しかしながらNTT東日本だけでは実現が難しかったことから、前述の共同出資企業様等にご協力いただき、農薬散布ドローンの開発を目指して設立されたのが当社です。


ここで一つ心に留めていただきたいのが、当社は農業用ドローンの分野で地位を確立したいのではなく、今後10年~20年の地域農業を支える方々のニーズを正確に洞察・把握し、農業所得向上につながるドローンを開発することが目標だということです。本気で地域に貢献するという覚悟で、一番農家様に近い位置でドローンを通じて関わるという決断を下しました。


農業用ドローンの発展

NTT東日本がなぜメーカーを立ち上げ、ドローンを開発したのか過去と現在の事情を踏まえてご理解いただけたかと思います。ではこれから地域産業の中で、ドローンはどのような発展をしていくのでしょうか。おそらく今後ドローンは皆さんがお持ちのスマートフォンのような存在へと、変わっていくと考えています。スマホと聞いてお気づきになられた方もいらっしゃるかもしれません。ここにきてNTTの基幹事業の一つである、「通信」とドローンがリンクしてくるのです。


具体的にお話しますと、例えば現在NTTグループが展開している高速・大容量での通信が可能な5G回線等との連携です。この技術が実現すると、ドローンを室内からでも遠隔操作し農薬散布できるようになります。またドローンで同時に撮影を行うことで得た、農作物の高度な育成データを送受信することが可能にもなります。


これにより実際に現場に出向かずとも作物の生育状態をAI等で管理、分析し、状態に応じた農薬の散布や追肥などを無人で行えるようになるのです。つまるところ農家様は、より少ない人手でより質の高い栽培ができるようになります。

もちろんそれには、NTTグループの技術だけでなく、共同出資企業である株式会社オプティム様のご協力や地域の研究機関様、ドローン事業者様との連携も必要となります。

まとめ

NTTグループにはこのスマート化を推進するAI、クラウドなど含めたICT(情報通信技術)があります。今後はドローンの提供だけではなくカメラやセンサ等の活用や営農アプリとの連携など、グループ全体が持っている技術とシナジーを発揮しながら、ICT全般の提供で課題解決を図ることを目指します。


繰り返しにはなってしまいますが、当社を設立したのは、農家の皆様のお役に立つことによって、地域経済に貢献したいという思いがあったからです。ドローンはそのための手段です。私たちNTT e-Drone TechnologyがNTT東日本、株式会社WorldLink & Company、株式会社オプティムの3社を“つなげた“ように、農家様と私たちを”つなぐ“架け橋、それが「AC101」なのです。


(本記事は2021年7月14日に、AC101特設サイト「e-drone.tech」に掲載した記事を転載したものです)

bottom of page