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ドローン×通信×AIで社会課題を解決する
国産ドローンメーカーのリーディングカンパニー

ドローン(ANAFI Ai)を活用した遠隔地へのデータ伝送の取組

要旨

株式会社NTT e-Drone Technology(以下、NTTイードローン)は、農業分野と産業分野においてドローン×通信×AIを活用した取組を推進しています。なかでもANAFI Aiの優れた特長である「4800万画素の高精細カメラ」、「LTE通信を介した遠隔操作」を利用した様々なユースケースが生まれています。今回はそのなかでも公共機関からの要望が強い遠隔地へのデータ伝送の取組を2件ご紹介します。


①機体にデータを保存することなく遠隔地側でデータを保存可能なアプリケーションの開発


ドローンが飛行して撮影した映像を保存するためには、飛行を終えて着陸した後に撮影映像が保存されたSDカードを取り出し、パソコンにデータを保存する方法が一般的でした。NTTイードローンでは株式会社Red Dot Drone Japan(以下、RDDJ)と連携し、ANAFI Aiのソフトウェア開発キットを活用し、機体にデータを保存することなく遠隔地側でデータを保存可能なアプリケーション(以下、SDカードレス伝送アプリ)を開発しました。

SDカードレス伝送アプリは、ANAFI Aiからコントローラに送信されるカメラのストリーミング映像をキャプチャし、映像プラットフォームに配信する機能を有しています。

また、映像プラットフォームへはChromeなどのブラウザを利用してアクセスすることで、ANAFI Aiが飛行中に撮影している映像や画像をリアルタイムに確認が可能で、アーカイブとして動画と静止画を保存することも可能です(図1)。


図1 SDカードレス伝送アプリの動作概要



SDカードレス伝送アプリにより「SDカードにデータを保存しないセキュアなデータ管理」、「ANAFI Aiの撮影する映像・画像をリアルタイムに遠隔配信・保存」するといった新たな価値を生み出すことができました。現在は、ドローンにSDカードを搭載することが困難なニーズを有する事業者との実証準備を進めています。


図2 SDカードレス伝送アプリによるセキュアな伝送の実現


②災害時の現地から遠隔地へのリアルタイム情報共有の実現


災害発生時において、NTT東日本グループではインフラの早期復旧に向けて災害対策室が稼働します。現地の状況を把握するために被災エリアの状況把握が必要ですが、立ち入ることの困難な地区ではANAFI Aiを活用した現地の空撮手法が有効です。ANAFI Aiは他のドローンと比べて高性能カメラの搭載といった優位性を持っている一方、取組①の通り、既存の方法ではリアルタイムに撮影映像を遠隔地と共有する方法はありませんでした。そこでNTTイードローンでは株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー(以下、NTT-ME)と連携し、災害対策室と現地映像を共有するための手法を確立しました。この取り組みでは、ANAFI AiのコントローラのHDMIからストリーミング映像を取り出し、VBOLT(NTT東日本内で利用している映像配信プラットフォーム)へ映像配信を行うことで、遠隔地との映像共有を可能としました。配信では低遅延なプロトコルを利用することで、リアルタイム(1秒未満)に被災地の状況を確認できます。


図3 リアルタイム映像配信の構成イメージ

なお、令和6年能登半島地震における石川県珠洲市でのドローンを活用した住家被害認定調査および応援自治体と事業者による遠隔判定および判定支援の実施においても、このリアルタイム映像配信の技術を用いることにより珠洲市はじめ関係各所に空撮成果物の確認をいただきました。



今後の展望

遠隔地へのデータ伝送の高度化にむけては引き続き課題が残されています。

【配信映像の高画質化】

現在はANAFI Aiの仕様上フルHD画質のストリーミング映像しか取り出せません。今後ドローンに搭載可能なセンサーやコンピューターの小型化・省電力化・高性能化に伴い4K画質のストリーミングが可能になると考えています。

【データ伝送方式の多様化】

LTEの通信圏外ではリアルタイムな映像配信が行えません。そのためローカル5Gやスターリンク等の複数のネットワークと組み合わせることによるデータ伝送方式の多様化を検証しています。

NTTイードローンはこれらの技術課題の解決を図りながら、新たな価値創出に引き続き取り組んでまいります。




<本件問い合わせ先>

株式会社NTT e-Drone Technology

サービス推進部


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